飛行機用3軸ジャイロ-Eagle A3 Proの搭載と活用方法

 ここ最近のラジコン関連エレクトロニクスの普及には、目を見張るものがありますが、その中でも飛行機用3軸ジャイロについて、多くの方がブログ等で搭載例を紹介して話題となっているようです。ところが、これらの報告を読ませて頂くと、実際に飛ばされて、どうだったのか? あまり詳しく述べられたものをみかけません。
 ジャイロは、安定良くなる装置だと多くの方が思われている訳で、それは事実であり間違いではありません。ところが、その特性や取り扱い方法、そして適切な調整ができなければ、場合によって期待はずれな装置でしかなくなり、ひどい時は大切な機体を壊してしまう事もあります。

 早速、私もEPPの3D機にA3Proを搭載して、その効果や具体的な飛行の差異を体感してみましたので、皆さんに紹介してみたいと思います。

 上の画像は、HKのYAK54EPP3D機にEagleA3Proを搭載した様子です。


 左の画像は、調整フライト中の画像です。まだ調整中なので、高度は少々高め(腕もあるかも…(^?^; )ですが、AVCSモードで、ホバリング中の様子です。

  *AVCS:Activ Angular Control System

1.搭載機の選択
  本製品は、空チャンネルのSW(3段切替)を使用して、[ノーマル・ジャイロ]ー[OFF]−[AVCSモード]を選択することができます。
 一番適していると思われる機体は、今回紹介している様な3D機で、Eagle3APro自体が箱無しの現状を考えると、電動機を主体とした搭載が望ましいと考えます。工夫次第で、エンジン機にも搭載できるでしょうが、ジャイロ破損=墜落!が現実ですから、適切な振動吸収と細心の搭載方法が重要となるでしょう。

 3Dまでしないが、実機らしく飛ばそうとするスケール機にも搭載はできますが、その際はAVCSモードは必要ありません。(理由は後で説明します。) ノーマル・ジャイロ・モードのみ使用するか、ノーマル・ジャイロ機能だけの製品を選ぶと良いでしょう。

2.具体的な搭載方法
 1)重心位置にもっとも近い場所に搭載する。
 2)搭載は、機体の正面・側面・平面に対して、曲がりや傾きが最小限となる様に取り付ける。
 3)取り付け時は、機体の振動を拾わないように、振動吸収性の良い両面パッドで取り付ける。


 ヘリを経験されている方は、ジャイロの取り付け両面パッドにも細かい気遣いをされています。いい加減な両面テープや材質の硬いパッドを使用して、テールにハンチングが起きたり、パッドが古くなっただけで、振動が発生したりする事を経験されているからです。これは、いくら飛行機用のジャイロだからといっても同様です。ぜひ、振動吸収できる取り付けを心掛けて下さい。特にエンジン機は必須です。

3.使用における重要注意点
  特にAVCSモード(ヘッドロックモード)を使うにあたり、次の点について送信機の設定と機体の調整を実施しておく必要があります。これは、搭載後でもOFFモードで実施可能です。
 1)送信機のサブ・トリム、通常トリムは“0”で、ATV(またはENDPOINT)は100%にする。
 2)上記送信機状態で、機体は中スローで水平飛行する様にリンケージで修正しておく。

 本製品では、サブ・トリムや通常トリムが“0”でない場合に、AVCSモードにすると、サーボが振り切れる等の症状が現れる事があります。気をつけて下さい。
 なお、AVCSモード時の飛行において、通常トリムを使用しても、その時はOKでも、一旦電源が切れるとジャイロ側で初期のニュートラルに戻され、送信機のトリムは無効となります。(ただしトリムメーターは、ずれたままという状況になります。)

4.ジャイロの感度調整
  ジャイロの設定については、当店で日本語説明書を同封しますので、それにそって行えばよいでしょう。なお、その際は[ノーマル・ジャイロ・モード]で設定を実施して下さい。(AVCSモードでは、思った方向に反応しないので、設定困難です。)

  感度調整(ゲイン)は、3個の「−」ネジを時計方向に回すと感度が上がり、反時計方向に回せば感度が低くなり、反時計方向に回しきったところが、[OFF]と同じになります。よって、ジャイロ反応方向の設定時は、時計方向に大きく回して、感度を上げた状態で行うと動きが分かり易くなります。

  最初の飛行におけるジャイロの感度は、エルロン/エレベーター/ラダー共に、感度ネジの回転角30%弱でセットして下さい。最初から感度を高く設定すると、ハンチング(飛行時に大きな振れ)を起こしてしまうことがあります。欲をかかずに、小さな感度から少しずつ様子を見ながら上げていく事をお勧めします。

5.ノーマル・ジャイロ・モードでの飛行
  スイッチが[OFF]状態で、スロットルを中スロー位置にして、機体が水平飛行する事を確認しておきます。もし修正が必要であれば、トリムは使わずに、必ずリンケージで水平飛行する様に調整して下さい。

 飛ばす前に各モードの確認を行いましょう。
 ・[ノーマル・ジャイロ]位置 ⇒機体を傾けると各動翼が反対に切り返そうと動く
 ・[OFF]位置] ⇒当然ジャイロ反応は無し
 ・[AVCSモード] ⇒機体を傾けても、必ずしも反対方向に動翼は動かず意味不明な動きとなる

  機体をフライトさせ、上空でスイッチを[ノーマル・ジャイロ]位置に切り替えてみましょう。すると、機体が空気に張り付いた様な安定したフライトが、指に伝わってくると思います。これで一通りの飛行を行いますが、機体にハンチング(大きな当て舵による振幅動作)が現れない所まで、各舵の感度を上げて行くと良いでしょう。私も少しづつ上げて、今のところ感度はエルロン=40%強、エレベーター=40%弱、ラダー=40%弱の位置になっています。まだ調整中で、少しづつ上げているところです。

  飛行の感想は、風の中でもかなり安定した飛行を行うのは当然で、ナイフ・エッジ飛行や空中ホバリングも実に簡単に行える様になりました。確かにトルク・ロールを習得する前のホバリング練習には最高かもしれません。私は、ジャイロが無くてもホバリングやトルクロールを行えるのですが、その所見からも本ジャイロがホバリング時おける、機体の垂直姿勢(重心の垂直)を会得するには、大変助かる装置だと感じました。

6.AVCSモードでの飛行
  「AVCS方式(ヘディング・ロック・モード)は、積分制御を加えたジャイロです。従来方式(ノーマル・ジャイロ・モード)では、機体が動いた時だけ、ジャイロが機体の姿勢を制御するのに対して、AVCS方式は、その積分機能で、機体の動いた角度が判るため、機体姿勢が変化していない時にもジャイロが制御信号を送り続けます。」 これは、ある文献の一節ですが、これは何を意味しているかと言うと「機体の傾きや制御は、場合によって思い通りにできませんよ!」と語っている様なものなのです。

  最初は、高度を高めに飛行させながら、実際にスイッチを[AVCSモード]に切り替えてみました。すると機体姿勢を保持する機能が一段と高まるのが直ぐに分かりました。水平飛行から垂直に立ち上げて機体をホバリングさせた状態で、送信機から指を離すと、そのままの状態を保持しています。そしてナイフ・エッジで一定角の位置を決めて、適度なモーター出力で飛行する時も、まさに手放し飛行が可能なのです。これにはビックリでした。
  元々ヘリコプターにおいては、AVCS:ヘッド・ロック・モードは常識的な機能として使われるようになっていたのですが、これを飛行機に応用する考えには恐れ入ったと言うのが印象でした。

7.以上の経験からの考察
  特にAVCSの活用には、飛行技術の度合いや経験がどの程度なのか? 考えて頂く必要があるようです。ハッキリ言って、[ノーマル・ジャイロ・モード]の使用はともかく、[AVCSモード]の使用は、初心者の方には無理だと思われます。またそれに付随した特長(短所)を列記しておきます。

 ・AVCS時、エルロン旋回ができないので、ラダーで旋回させる。(機体を直線飛行しようと
  保持する様に働くため、旋回困難となる)
 ・AVCS時、ホバリング練習には適しているが、トルク・ロールは一定の位置しか回転しないですね。
  これは翼にベルヌーイの定理が影響しなくなる位置があるので当然ですけどね。
 ・感度上げ過ぎによるハンチングは、機体破損につながるので、慎重な調整を心がけましょう。

8.その後
  フライトを重ねながら、ゲインを上げていきましたが、現在の感度はエルロン=40%強、エレベーター=50%弱、ラダー=50%弱の位置になっています。これで更にホバリング時の保持力が大きく増したことが感じ取れました。AVCSモードで機体を垂直に立ち上げ、機体がその姿勢を保持している状態で、パワーを絞ると、緩やかにその姿勢のまま降下してきます。パワーを上げると、当然上昇していきます。そこで、少し機体を上昇させた状態で、スロットル・スティックをさらにゆっくり絞っていくと、エルロンが思いっきり右に切れているのに、機体が左に回り始める所があります。この時が、翼にベルヌーイの定理が働いていない(無揚力状態とでも言おうか?)本当のトルクロールとなります。ぜひ、試してみて下さい。

添田模型センター:安藤由隆